子育てや介護と仕事が両立しやすい就業環境の整備等をさらに進めていくために、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」いわゆる「育児・介護休業法」が改正されました。
…この法律の正式名称ってとても長いですよね。すんなり言える人って少ない気がします。私はもちろん・・・。
一部施行されていますが、会社にとっても、社員にとっても、大きな改正となる部分の施行は2017年1月1日からで、就業規則の変更が必要です。
もう10月に入り、検討・変更・届出・周知とスケジュールを考えると、そろそろ対応しなければ間に合わない時期になってきました。
まだ、変更していない!間に合わない!と焦りを感じている会社もあるかと思いますので、ポイントをまとめました。
今回は介護に関する法改正です。
1.介護休業の分割取得が可能に【改正】
これまでは、対象家族1人につき、通算93日まで原則1回に限り取得可能だったのですが、3回を上限として分割取得が可能となります。
対象家族の範囲は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹 及び孫で変更ありません。なお、祖父母、兄弟姉妹、孫については、これまで同居・扶養の要件がありましたが不要となます。
…利用範囲の拡大と利用しやすい制度への変更ですね。実務的には分割した残日数の管理が面倒かもしれません。雇用保険からの介護休業への給付も40%→67%と既にアップされていますので、今後利用者は増えると思われます。
2.介護休暇が半日単位で取得可能に【改正】
これまでは、1日単位での取得でしたが、半日(所定労働時間の2分の1)単位での取得が可能となります。
1年に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで取得可能なことに変わりはありません。
…こちらも利用しやすい制度への変更ですね。実務的には介護を理由とした早退や遅刻に代わって利用されることになると思われます。
3.所定労働時間の短縮処置等(選択的措置義務)の利用機会の拡大【改正】
これまでは、介護休業と通算して93日の範囲内で取得可能でしたが、介護休業とは別に、3年間で2回以上の利用が可能となります。
所定労働時間の短縮措置等(選択的措置義務)は、要介護状態にある対象家族の介護をする労働者に関して、対象家族1人につき、以下のいずれかの措置を選択して講じなければならないものです。
(1)所定労働時間の短縮措置
(2)フレックスタイム制度
(3)始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ
(4)労働者が利用する介護サービス費用の助成その他これに準じる制度
…介護は終わりが見えない部分がありますので、利用機会を増やすことでの負担軽減が趣旨ですね。各措置の1回当たりの利用日数・期間については規定されていませんので、会社の判断で決めることになります。趣旨を考えるとあまり短い期間ではどうかな?とも思います。
4.残業の免除【新設】
こちらは新設です。対象家族1人につき、介護終了まで利用できる所定外労働の制限(残業の免除)を新設しなければなりません。
…今回の改正の中で、特に会社として運用が難しいと私は感じています。エンジニア等の技術・開発系職種の多い会社は特に悩ましい。事業の正常な運営を妨げる場合には請求を拒否出来ることにはなっていますが、どこまでがその範囲となるのかを検討した上で導入しないと、いらぬトラブルになりそうです。
以上が、来年の1月1日施行のものです。この法改正が国会で成立したのは今年の3月末の年度末ギリギリ・・・の割によく見るととても大きな改正ですよね。ここではポイントだけをまとめましたが、実務的には他にも考えなければならないことが多いと感じますが、サラッと改正されてしまったような気がしますね。
…だから9か月間猶予があった!って言われるかもしれませんが。
高齢化が進む中、今後介護に携わる必要に迫られる社員が増えることは間違いありません。優秀な人材を確保し、働き続けてもらうためにも、この法改正を機に、将来を見据えた見直しに取り組んでみるのもいいと思います。
もっと詳しく知りたい。法改正や制度を理解して取り組むには、時間も労力もない・・・そんな時はお気軽にご相談ください。
一緒に会社に合った規則や制度を作っていきましょう!
厚生労働省ホームページ(育児・介護休業法について)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html